節分ってどんなもの?

いやぁ、寒いですねぇ。 (今日は暖かいけど) さて、今日は節分ですね。 古く
からある二十四節季の1つですが、どんないわれがあって、どこからどんなふうに始
まったんでしょうか。 子供の頃は父親がスーパーで買った豆まき用の商品に付いて
る鬼のお面を付けて玄関を入ってきていたものです。 会社帰りにどこかへ寄って家
に着いたら車の中でお面を付けてたんでしょう。 今考えるとなんだか恥ずかしさと
テレがありますけどね。 でもその鬼に豆を投げつけた記憶がないんだけどな〜。 
子供心に鬼になってる父に豆を投げるのが嫌だったような・・・ 悪いからとかじゃ
なくて、なんとも言えないテレの気持ちがあったから、豆をまいたことはなかったか
も。 食べれるものだからもったいないって投げないで食べてたような・・・ 後の
掃除もめんどうだしね。

「節分」は「せち分かれ」とも言い、本来季節の変わり目である立春立夏立秋
立冬の前日のことです。 特に現在は立春の前日である2月3日を「節分」と言い、豆
をまいて邪気を払ったり、福を呼んだりしますね。

豆で邪気を祓う意味とは?

節分の日は豆まきをして「鬼(邪気)」を払います。 豆まきには悪魔のような鬼の目
(魔目)にめがけて豆を投げれば魔滅すなわち魔が滅するという意味があると言われ
ています。 このような意味から、豆は鬼を払うものでもあり、鬼そのものともとら
えられていたようです。 そのため、節分の豆まきの際は鬼である豆を家の外に投げ
ながら「鬼は外」と叫びます。 豆まきの他に、鬼を払うため鬼が嫌う柊の枝に鰯の
頭を刺したものを戸口に立てておいたり、炒った大豆を年の数だけ食べるという習慣
が今も続いていますね。 また、古来鬼は陰と言われ、姿の見えない災いなどを総合
的に指す言葉でした。 しかし、(※陰陽五行説)の考え方を用いて占いを行うよう
になり、鬼は「毛むくじゃらで背が高く、赤や青の皮膚をしていて、筋肉質で丑寅
方角から来る」などの具体的な形に変化したそうです。

※中国の春秋戦国時代に発生した陰陽と五行が結び付いて生まれた思想のこと。

追儺の儀式と節分の融合について

節分に行われる豆まきは中国の追儺の儀式と日本の節分とが融合してできたと言われ
ています。 追儺の儀式は邪気祓いの行事で、平安時代に中国から伝わりました。 
「鬼やらい」とも呼ばれ、桃の木で作った弓と葦の矢で都の四門から鬼を追い払い、
1年の疫鬼を祓って新年を迎える行事として大晦日(12月末日)の夜に宮中で行われ
ていました。 また、中国から伝わった暦である(※二十四節季)では立春を四季が
一巡りした1年の最初の日であると考えられています。 その前日である節分は1年の
最後の日である大晦日と同じ意味を持ちます。 そのため、1年の厄を祓う意味を込
めていつしか追儺の儀式は二十四節季上の大晦日である立春の前日に行われるように
なり、儀式自体を「節分」と呼ぶようになりました。

太陰太陽暦で季節を正しく示すために設けた暦上の点のこと。 一太陽年を二四等
分し、立春から交互に節季、中気を設け、立春、雨水、立秋など、それぞれに名称を
付けています。

太巻きを無言で丸かじりするのはなぜ?

節分は厄年にあたる人が豆をまき、「鬼は外、福は内」と叫ぶのが一般的ですが、鬼
を祭った神社や鬼の名前が付いた地域など鬼を悪とみなさない地方の場合「鬼は内、
福は内」と叫ぶことがあるようです。  豆をまく人も、厄年の人の他に年男や年女
、一家の主など地方によって様々です。   また、節分の日に福を巻き込む太巻き
寿司を、(※1恵方)を向いて(※2無言)で丸かじりすると、一年間健康でいられ
ると言われています。

※1その年決められた縁起の良い方角のこと。 福徳を司どる神様(歳徳神)が居る
とされ、毎年方角が異なります。

※2無言で丸かじりする由来はわかっていません。 一般的には話ながら食べる事は
歳徳神に失礼だからだろうと言われています。

今年2013年、平成25年の恵方は南南東(南微東)です。皆さんは太巻きを丸か
じりしますか? 私はしたことないですけど。 ではここで節分の昔話をひとつ紹介
しますね。

むかしむかし、ある山里に一人暮らしのおじいさんがいました。

この山里では今年も豊作で、秋祭りでにぎわっていましたが、誰もおじいさんをさそ
ってくれる者はおりません。

おじいさんは祭りの踊りの輪にも入らず、遠くから見ているだけでした。

おじいさんのおかみさんは病気で早くになくなって、一人息子も二年前に病気で死ん
でいました。

おじいさんは毎日おかみさんと息子の小さなお墓にお参りする事だけが楽しみでした

「かかや、息子や、早くお迎えに来てけろや。極楽さ、連れてってけろや」

そう言って、いつまでもいつまでも、お墓の前で手を合わせているのでした。

やがてこの山里にも冬が来て、おじいさんの小さな家は、すっぽりと深い雪に埋もれ
てしまいました。

冬の間中、おじいさんはお墓参りにも出かけられず、じっと家の中に閉じこもってい
ます。

正月が来ても、もちを買うお金もありません。

ただ冬が過ぎるのを待っているだけでした。

ある晴れた日、寂しさに耐えられなくなって、おじいさんは雪に埋まりながらおかみ
さんと息子に会いに出かけました。

お墓はすっかり雪に埋まっています。

おじいさんはそのお墓の雪を手で払いのけると

「さぶかったべえ。おらのこさえた甘酒だ。これ飲んで温まってけろ」

おじいさんは甘酒を供えて、お墓の前で長い間話しかけていました。

帰る頃にはもう日も暮れていました。

暗い夜道を歩くおじいさんの耳に、子どもたちの声が聞こえてきます。

「鬼は〜外、福は〜内、」

おじいさんは足を止めて、辺りを見回しました。

どの家にも明かりがともって、楽しそうな声がします。

「ほぉ、今夜は節分じゃったか」

おじいさんは息子が元気だった頃の節分を思い出しました。

鬼の面をかぶったおじいさんに息子が豆を投げつけます。

息子に投げつけられた豆の痛さも、今では楽しい思い出です。

おじいさんは家に帰ると、押し入れの中から古いつづらを出しました。

「おお、あったぞ。むかし、息子とまいた節分の豆じゃあ。ああそれに、これは息子
がわしに作ってくれた鬼の面じゃ。」

思い出の面をつけたおじいさんはある事を思いつきました。

「おっかあも、可愛い息子も、もういねえ。ましてや、福の神なんざにゃ、とっくに
見放されておる。」

こう思ったおじいさんは、鬼の面をかぶって豆をまき始めました。

「鬼は〜内、福は〜外、」

おじいさんはわざとアベコベに叫んで豆をまきました。

「鬼は〜内、福は〜外、」

もう、まく豆がなくなって、ヘタヘタと座り込んでしまいました。

その時、おじいさんの家に誰かがやって来ました。

「おばんでーす。おばんでーす」

「誰だ、おらの家に何か用だか。」

おじいさんは、戸を開けてビックリ。

「わぁ〜、」

そこにいたのは、赤鬼と青鬼でした。

「いやぁ、どこさ行っても、鬼は〜外、鬼は〜外って、嫌われてばかりでのう。それ
なのに、お前の家では鬼は〜内って、呼んでくれたでな」

おじいさんは震えながら、やっとの事で言いました。

「す、すると、おめえさんたちは節分の鬼か。」

「んだ、んだ。こんなうれしい事はねえ。まんずあたらしてけろ。」

と、ズカズカと家に入り込んで来ました。

「ま、待ってろや。今、たきぎを持って来るだに。」

この家に客が来たなんて、何年ぶりの事でしょう。

たとえ赤鬼と青鬼でも、おじいさんにはうれしい客人でした。

赤鬼と青鬼とおじいさんがいろりにあたっていると、またまた人、いえ、鬼が訪ねて
来ました。

「おばんでーす。おばんでーす」

「鬼は〜内ってよばった家は、ここだかの。」

「おーっ、ここだ、ここだ。」

「さむさむ、まずは、あたらしてもらうべえ。」

ぞろぞろ、ぞろぞろ、それからも大勢の鬼たちが入って来ました。

何と節分の豆に追われた鬼がみんな、おじいさんの家に集まって来たのです。

「何にもないけんど、うんと温まってけろや。」

「うん、あったけえ、あったけえ。」

おじいさんは、いろりにまきをドンドンくべました。

十分に温まった鬼たちは、おじいさんに言いました。

「何かお礼をしたいが、欲しい物はないか。」

「いやいや、何もいらねえだ。あんたらに喜んでもらえただけで、おら、うれしいだ
ぁ。」

「それじゃあ、おらたちの気がすまねえ。どうか、望みを言うてくれ。」

「そうかい。じゃあ、温かい甘酒でもあれば、みんなで飲めるがのう。」

「おお、引き受けたぞ、待ってろや。」

鬼たちはあっという間に出て行ってしまいましたが、

「待たせたのう。」

しばらくすると、甘酒やら、ごちそうやら、そのうえお金まで山ほどかかえて、鬼た
ちが帰って来ました。

たちまち、大宴会の始まりです。

「ほれ、じいさん。いっペえ飲んでくれや。」

おじいさんも、すっかりご機嫌です。

こんな楽しい夜はおかみさんや息子をなくして以来、始めてです。

鬼たちとおじいさんは一緒になって大声で歌いました。

「やんれ、ほんれ、今夜はほんに節分か。」

「はずれ者にも、福がある。」

「やんれ、やんれさ。」

「はずれ者にも、春が来る。」

大宴会は盛り上がって、歌えや踊れやの大騒ぎ。

おじいさんも鬼の面をつけて、踊り出しました。

「やんれ、やれ、今夜は節分。」

「鬼は〜内、こいつは春から、鬼は内〜。」

鬼たちはおじいさんのおかげで、楽しい節分を過ごす事が出来ました。

朝になると、鬼たちはまた来年も来るからと上機嫌で帰って行きました。

おじいさんは鬼たちが置いていったお金で、おかみさんと息子のお墓を立派な物に直
すと、手を合わせながら言いました。

「おら、もう少し長生きする事にしただ。来年の節分にも、鬼たちを呼ばねばならね
えでなあ。鬼たちに、そう約束しただでなぁ。」

おじいさんはそう言うと、晴れ晴れした顔で家に帰って行きました。

めでたしめでたし。

なんだか心にぐっとくるお話じゃないですか? 作り話でしょうけど、もし事実だっ
たらいいなぁって思いました。 まあいきなり鬼が目の前に現れたらびっくりってい
う程度じゃすまないでしょうけどね。 今のご時世にもこんな感じの敵であって敵じ
ゃないっていうか平和な出来事が出てくるといいですね。