幼い頃に受けた屈辱

忘れたくても忘れらんないことがある。小学校4年生の時のこと。障害が出始めて友
達がいなくなって勉強も辛くなったから学校には意味なく登校してたんだけど、周り
の子供たち、つまり生徒から除け者にされてたのは百歩譲ってまあいいとして、この
時の担任のことを書くことにする。(面白くないけどあしからず。)「先生」とは言
いたくないから「男」と書くことにする。同じ「男」でも紳氏の皆さんごめんなさい
。私が6年間会った担任の中で男は最低な奴で(と言うか人として最悪!)まず、授
業の教え方が全くなってない。教員用に配られる教科書を読んで聞かせるだけ。「授
業」って言う言葉はあてはまらない。これなら自分で読んで調べて理解する。という
いわゆる「自習」と変らない。だからこのクラスの生徒は持って生まれた才能があっ
て、勉強することが得意なよく言う「天才」の生徒は出来が良かったが、それ以外の
生徒は授業内容を理解できずにいた。そんな授業時間にもかかわらず、男は自分が決
めたノルマを達成すると、どんなに時間が残っていても「後は自習だ!この問題の答
えを書いて出せ!できた奴から休み時間だ!できない奴は休みなし!」と言って男は
教員用のデスクについてうつ伏せになって居眠りをする。天才はすぐできるが、ほと
んどの生徒は頭をかかえて一生懸命教科書とノートを目の前に格闘していたのを覚え
ている。だがしっかり教科書を読めば問題は解けるものだから、徐々にみんなはノー
トを提出し、急いで教室から出て行っていた。教科書が読めなくなった私は言うまで
もなくできずじまいで、まともに休み時間をとったことがない。男の教育方法には今
でも納得できないことだらけで、授業中に「おい、○○ここの答えが分るか?」とい
う光景はどこでもあることだが、それを答えられなかった生徒には閥としてまず椅子
に正座させる。教え方が悪いんだからこういう生徒が45分の中でどんどん増えてい
く。間違いなら「よく教科書を読んで考え直してみろ。」くらいのことを言えばいい
のに再度トライする時間を与えない。そしてどう考えても嫌がらせのように答えられ
ないであろう生徒にばかり回答をさせようとし、間違えるのを待っているかのように
正座させていく。そして足が痛くって泣きそうになっている頃、再度解答させようと
するが、子供だからというわけでもないだろうけど、答えられないというショックと
、足の痛みのために、正しく解答し直せる生徒はなかなかいない。再度間違えたら、
その生徒は廊下に出され、鶯張りの上に正座をさせられる。休み時間は与えられない
から授業が終わった他のクラスの生徒にそんな姿を見られることになる。子供心にか
なりの苦痛ではないだろうか。昔、私達の親の世代はこんなもんじゃなくて「体罰
があったと聞くけど、厳しさの中に愛情があったと言う。後でゆっくり言い聞かせ、
何がいけないのか、どうするべきなのかを教えていたらしい。その時に先生の教育に
熱が入っていることを知ったと私の両親も言っていた。だが、男の場合はしょげてい
る子供を見て面白がっていたし、自分が支配している気分になれるのがうれしいだけ
としか思えない。これだけなら私だけじゃなくて他の生徒も苦しめられたことになる
からこんなところで書こうとは思わない。こんなの序の口でこれからが本心から許せ
ない出来事になる。ある日いつも通り登校し、意味のない授業を受け始めた。国語の
時間で一通り教えた気になった男は「ノート1ページに今日教えた漢字を書いて埋ま
ったらもってこい!」ということになり、みんな一斉に書き始めた。「漢字ドリル」
というのがあるが漢字だけは大きく記載されていたので私も目をこらして見て書いて
いった。だがペースは誰よりも遅いのでやっぱり最後まで一人休み時間を使っていた
。やっとできて提出した時だ。私が必死で書いた漢字を見て男は「お前はいつになっ
たらまともに書けるようになるんだ!きたなくて読めやしない!裏に全部書き直せ!
」と怒鳴られた。抵抗できなかった私は心で泣きながらまた数十文字を書いていった
。再度提出すると男は「お前の字は何回書かせてもきたないままだな!救いようがな
いな!」と言いながら漢字の上に大きな×印を付けた。どうしようもなかったことを
こんなにも悪く言われてしまった私はクラスの目線がひややかになっていくのを感じ
ていた。この時男は休み時間を教室で過ごしている自分がお気に入りの女子生徒をつ
かまえて肩を揉ませていた。それから月日が経って遠足の日がやってきた。前に書い
たように当時の私はひどい乗り物酔いに悩まされていたのでもちろん手段としていつ
もより朝食を減らしたり、酔い止めの薬を福用して行った。これで解決するなら簡単
なことで、全く効き目はない。行きのバスの中で嘔吐してしまった。この時も男は私
を何か得体の知れないものでも見るような目でこっちを見ながら「うわ!汚ねえな〜
!こんなに吐くのか〜!隣の○○がかわいそうだな〜!」と言って絶対助けようとは
しなかった。大声で言うもんだからバス全体に聞こえて、また一層ひややかな視線と
ひそひそ声を聞かなければならなかった。優しいのはバスガイドさんだけだった。そ
れからまた月日が経って、確か2時間目だったと思う。数学の時間で、いつも通り男
は「後は自習にする!今出した問題を解いてできたら持って来い!できるまで休み時
間は取るな!休み時間にもできなかったら帰るまでになんとかしろ!」と言われ、い
つもと同じことが始まった。だんだんみんなは席を立ち、遊んでいる生徒もいればや
り直している生徒もいた。私は鉛筆が動かせないままじっとしているしかなかった。
案の定時間内にできず、そのまま次々時間は容赦なく過ぎていき、一秒たりとも休み
時間は取れないまま給食時間になった。どの時間も解けもしない問題を目の前にしな
ければならないので給食も自分で取りに行くものだけど、席を立てないので隣の生徒
が嫌々持ってきた。給食なんか食べる気にもならなかった。みんなは楽しそうに食べ
終わって遊びに出て行くけど、私はほとんど残してまたノートを出して固まっていた
。しばらくしたら掃除の時間。男はこの時だけは席を立たせ、掃除はやるように指示
した。掃除が終わったら5時間目だ。ここでちょっと考えてみてほしいのだが、登校
してから約6時間休んでいないということで何か気づきませんか?遊んでいないのは
かまわない。学校で遊ぼうとも思わないし、どうせ友達もいないんだから。そうじゃ
なくて教室から出してもらえないということはお手洗いすら行ってないっていうこと
。そんな状態で何時間も過ごしていた私は歯を食いしばるほど我慢していた。だから
当然限界が来る。ここでとっても恥ずかしいのだが、下着もスカートも濡らしてしま
っていた。だから今度は自分からも席を立ちたくなかったが、なぜこんなに運が悪い
のか、5時間目の後の休み時間の時男に「おい!まだできないのか!ノート持ってこ
っちに来い!」と言われ、仕方なくよろよろと立って男のもとへ行った。私は男に見
えないように離れがちで立っていると「おい!先生の横に立て!」と言われ、しぶし
ぶ近づくと気付かれてしまって「なんで濡れてるんだ!さては漏らしたな!汚ねえな
!保健室に行け!」と怒鳴られた。この時生徒はほとんどグランドに出ていたから男
に見つかっただけだった。それに安心したのもつかの間、帰りの会の時隠しておくも
のだと思うが、男はクラス全員の前で「今日好美が漏らしてたんだ!」と発表しやが
った。私は青くなったり赤くなったりで黙っていたけどこのことがあってさらに周り
は離れて行ってまるでゴミ扱いだった。それから数日が経って、何の時間だったか忘
れたけど、私の席から見て斜め左の男の子がお腹の調子でも悪かったのか、漏らして
いたようで、その近辺がこそこそ言っていたことがあった。その子も6時間目が終わ
ってから保健室へ行って着替えていたらしい。だから帰りの会の時はいなくって帰る
準備をしていた時にまたも男は私に屈辱を受けさせた。全員の前で「今日漏らしたの
は○○だったんだな〜先生は好美だと思った!」なんて言いやがった。なんにもしで
かしてないのに、また勝手なことを言われ、下を向く以外どうしたらいいかわからな
かった。それに出来が悪いのは認めるけど、2分でも休めたならこんな粗相はしなか
ったわけで、私に責任はないと思う。このことは両親にも言わなかった。恥ずかしか
ったんじゃなくて、視力が下がってできていたことができなくなって友達もいない娘
を心配し、心細くならないように日々それまで以上の愛情を注ごうと試行錯誤してい
た両親にこれ以上心配をかけたくないと思ったから。だからずいぶん後になって打ち
明けたら両親はびっくりして特に父は「なんでその時にお父さんに行ってくれなかっ
たんだ?学校に行って校長に言ってそいつを殴り飛ばしてやったのに。」と怒り心頭
だった。今でも恨んでいる。男からは他にもなんだかんだと嫌がらせを受けたがきり
がないし、楽しいもんじゃないからこれくらいにする。今でも様々な理由でいじめが
あるけど子供同士のいじめはそんなに心底まで残らないと思う。だけど子供が大人か
ら受ける苦痛な言葉や攻撃は永遠に心の傷として残ってしまう。ひどい場合は身体に
も残るだろう。ちょっと違うところで「虐待」などがある。親になろうとしたものの
気持ちの変化でやってしまうのだろうが、何が気にいらなくても一つの命を消してし
まう権利はどこの誰にもない。成人と言われる人間はこれまで生きてきた中で自分に
とって都合のいいことだけを正解として記憶しているんだろう。だから記憶にないも
のは全て間違いだと判断し、自分の気持ちと合致しなかったら腹を立て、他人に害を
及ぼす。情けないことにそういう人は手近な弱い者をターゲットにする。やった時に
は気づかないけど後悔する人も少なくないだろう。子供は純粋で穢れ、しがらみを知
らないとされている。いつまでも純粋な気持ちを忘れないでと言うわりにはそれを失
わせているのは大人じゃないだろうか。傷ついた分、きたない世界を知ってしまう。
世間で通用するためには荒波にもまれないといけないと言うが、穢れやしがらみとい
うのは人間にとって必要なものなのだろうか。ある程度の痛みや悲しみは味わってお
かないと喜びや感動がわからないだろうが、無理矢理引っ張られて大人の世界に子供
が連れて行かれるのは果してどんなものだろう。