地元訓練内容の原稿

今日の記事は地元施設の便りに

掲載されたものとほぼ同じなので、

地元の方の中にはすでに

読まれた方がいらっしゃるかもですが、

ブログでも投稿することにしました。

長文なので、

2分割して投稿しますね。

では、掲載記事ここから。

私は平成26年5月から訪問訓練をして下さるようになっている

「地域生活支援事業所○○」の訓練士さんに

歩行訓練をしていただいています。

これまでの約2年弱ぐらいで

数カ所へ一人歩行できるようにしていただくことができています。

最初は近所の歯科医院へ行けるように訓練していただきました。

ヘルパーさんと歩けば5分ですし、楽ではありますが、

やはり「自分の望む時に自力で行きたい」というのが

多くの視覚障害者が感じることだと思うんです。

決まった日時にならないと出かけられないというのは

精神的なストレスになると私は感じています。

加えてヘルパーさんに依頼していると、当日の天候や気分の変化による

「急なキャンセル」がしづらいということもあります。

歯科医院は1kmもない近くにありますが、

当然ながら最初はどこを歩いているのかなど

さっぱり頭に描くことができません。

私が地図を描くことを苦手としていることも理由になるとは思いますが。

訓練開始前に一度面接をしていただいて、

私の状態をある程度ご理解いただいてから

実際に歩いてみるという流れになるんですが、

訓練士さんとは初対面になるわけですので、

私が白杖をどの程度使えるのか、

どの程度のテクニックがあるのかなど、最初は

訓練士さんの方も探り探りでらっしゃったはずです。

近いはずの所ですし、今考えると

どうしてあんなに迷い続けたのかと自分でも不思議に思っていますが、

訓練士さんのご指導のおかげで約3カ月、訓練回数10回程度で

歯科医院への一人歩行が可能になりました。

その後、こちらもすぐ近所にある衣料品店へ行けるよう訓練していただきました。

ここの場合は慣れない歩道をしばらく歩くという必要がなく、

建物の敷地内を壁づたいに歩けばいいという状態でしたので、

ここは3回程度の訓練で一人歩行が可能になりました。

次にうちから1kmあるかないかの所にある病院への訓練をしていただきました。

それまでよりもはるかに距離があるので、大変ではありましたが、

私の若干無理のある要望にもしっかり答えて下さいました。

距離がある場合は分割して教わります。

一度に長距離を歩いても頭には入りません。

だいたいのことは描けたとしても、一人歩行するには

歩くルートにあるポイント、つまり目印となる建物や

道路の状態をはっきりと把握しておく必要があるからです。

病院の行き帰りは3分割して教わって、

約5カ月間、20回程度の訓練回数がかかりましたが、

無事に一人歩行できるようになりました。

次に年度が代わって病院近くにある薬局への訓練をしていただきました。

近くと言っても見えない状態で歩くと結構な距離があるように感じます。

薬局への訓練はその時点で私が病院まで一人で行けるということで、

自宅まで来ていただくのではなく、病院で待ち合わせて、

そこから指導していただきました。

訓練時間は限られていますので、効率よく進めるために

すでに行ける場所までは訓練生が行って、そこまで来ていただき、

歩けないルートだけを教わるようにすることにより、

指導のいらない無駄な時間は省くということです。

薬局までも病院までと同様に距離があるため、

分割して教わりましたが、歯科医院へ行っていた頃よりは

なんとなくルートを描きやすくなり、

僅かながら一人歩行の技術が身に着いてきたかなと

我ながら感じてしまいました。

薬局の行き帰りは約3カ月、訓練回数12回程度で可能になりました。

次に近所の温水プールへの訓練をしていただくことにしました。

ここも近所とは言え、病院と同様

結構距離があるので、ルートを把握するには月日がかかりました。

それまで以上に距離があり、憶えておくべき細かいポイントが多いので、

かなり苦労しましたが、

5カ月ほどかけて教わると

一人歩行が可能になりました。

訓練士さんに最適なルートと歩き方を

教わるのは歩行訓練なら当たり前のことですが、

訓練士と呼ばれる方々はそれだけでなく、

私達が白杖で一人歩行する際にするべき

歩き方以外の注意点も伝えて下さいます。

私の場合、歯科医院への行き帰り途中では

「この辺りで声をかけられても相手にしないようにして下さいね。」

と言われています。

周辺の雰囲気やその辺りにいる人達の身なりなどを見て

「なんとなく危ない感じがする。」

ということを見えない私に教えて下さったりもしました。

そして、いくら歩道でも、また歩道でない所でも状況は変化します。

工事が始まることもあるでしょうし、天候により

足場がかなり変化してしまうことは避けられません。

もし、そうなった時どう対処するか、また

何かの拍子に迷ってしまった時などに

どう抜け出すことができるかというような

この先起こり得る変化にも対応できるように

変化した時、迷い込んだ時を想定して、

指導して下さるのは身内でもなく友人でもなく、訓練士さんです。

そこまで丁寧にご指導いただけるからこそ

私でも一人歩行ができているわけです。

少なくとも地元の訪問訓練士さんはこういうことまで

徹底して教えて下さいます。

このように書いているのを読まれると中には

「教わればどこへでも安全に一人歩行できるんだな。」

と感じる人がいるでしょうが、それは大きな間違いです。

私は基礎が身に着いている分、教わりやすさはありますし、

訓練士さんも0から指導する必要がないので、

数カ所への訓練をして下さっていますが、

実は2カ所ほど一人歩行を断念しています。

それは渡れるタイミングが車音だけでは判断できない

「距離が長い横断歩道」や「歩車分離式信号」がある場合です。

加えて車のドライバーにもいろんな性格の人がいます。

狭い道路で一応白線はあり、歩道と分けてはあっても、

常に歩行者のことを考えながら運転する人など

そうそういるものではありませんので、

急に曲がってくる車があると事故に遭ってしまう可能性が高いと判断できる所へは

残念ながら歩行訓練すら諦めなければなりません。

訓練士さんは私の要望に応えたいと

検討はして下さいますが、リスクが高く、

見えない状態では避けることのできない危険のあることがわかると、

さすがに一人歩行は否定されます。

これは私が一人で歩く時の安全確保ができないからであって、

訓練自体を拒否されるわけではありません。

このように何回も訓練を受けたことにより、

今では思い立った時に行ける場所ができましたので、

自分の気分次第で出かけたり、

医療機関では私自身の都合だけ考えて予約などすることができるので、

ヘルパーさんを頼まないといけなかった頃に比べると、

かなり精神的に楽になり、充実した日々を送ることができるようになりました。

訓練を希望して、一人歩行を可能にするには当然ながら

自分自身が充分なやる気を持ち、教わったことを忘れてしまうことのないように

頭の中で復習したり、指導内容を思い返したりしながら

努力することは必須なことになりますが、

訓練士さんの思いやりや親切心が大きく、

指導法が温厚で優しいことも訓練上達の要因になっていると感じます。